


最近テレビや新聞で円安になったという話題を良く目にしますね。「円安」や「円高」という言葉は円を外国のお金と比べるときに使われます。テレビなどではアメリカドルやユーロ、ポンドと比較されることが多いです。今回は円安・円高について考えてみましょう。
1.円安・円高ってどんな意味があるのでしょうか?
お金と物を交換することを「買う」と言います。物の需要が多ければ値段が上がり、需要が少なければ値段は下がります。お金とお金を交換する時も同じで、円の需要が多ければ値段が上がり「円高」になります。反対に需要が少なければ「円安」になります。
両替は「為替レート」によってお金でお金を「買って」いるわけです。このレートが変われば、同じ額の日本円でも交換してもらえる額が変わります。例えば海外に行く前に日本円を海外通貨に両替するとき、ドルやユーロなどの海外通貨に対して日本の円の価値が下がれば円安、価値が上がれば円高になります。円が安くなれば交換するときに今までより多く払わなくてはいけなくなります。

2.なぜ円安や円高になるのでしょうか?
円の需要と供給を左右する要因は様々ありますが、代表的なのは次の3つです。
(1)金利
・・・貯金をしたり、債権等を買うときは少しでも金利の高い物を選びたいものです。日本の金利が外国より低い場合、日本人が外国の金融商品を購入するため円を売って外貨に換える動きが多くなり、外貨の需要が高まるので、円安に進みます。
(2)景気と経済状況
・・・経済が成長している国や生産性の高い国の金融商品(株・投資信託等)
は投資効果が高いとみなされて好んで買われます。また、日本は原材料、製品を多く海外から輸入しています。
これらの場合も円を売って外貨を買っています。円より、外貨の需要が高くなると円安に進みます。
(3)国の政策
・・・物価上昇が2%を超えてもマイナス金利政策が変わらず、賃金上昇も不透明です。税や社会保険料負担も以前より多くなり、個々の家庭が家計を守るために不要な物は買わないようになると需要が減ることになります。需要が減ると経済成長は望めません。経済成長が望めないとなれば、①と②の要因をさらに後押しすることになり、円安に進みます。
為替は国の経済の強さを表していることになります。
グローバル社会では、各国の経済状況、戦争、疫病や災害などの社会状況、政府の為替介入、人の往来など様々な条件で為替レートは刻々と変わっています。
3.円安・円高のメリットとデメリット
円安・円高にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
円高のメリットとデメリット
《円高のメリット》
・円の価値が高くなり外貨が安くなるので、海外の製品、サービスや金融商品を安く買えます。
・海外旅行にはより多く外貨に交換できるので安く行けます。
・日本は資源の多くを外国に頼っています。石油や天然ガスなどの資源エネルギー、輸入原料・食材などが安く買えるので私たちの消費支出が下がります。
《円高のデメリット》
・自動車製造業などの大企業は海外に輸出することで成り立っているメーカーが多く、急激な円高局面になると経済に悪影響が出ると言われています
・輸出企業が海外で稼いだ外貨を円に転換すると目減りしてしまいます。目減りした分を製品価格に上乗せすると日本の製品が海外で売れにくくなり、企業の業績にも影響が出ます。
円安のメリットとデメリット
《円安のメリット》
・輸出企業が海外で稼いだ外貨はより多く円に変えることができ輸出企業の売り上げは円安の分だけ増えることになります。
・円安になると輸出する製品を安く設定することもできるので、国際競争力も高められると言われています。
・外国からの旅行客が増え、インバウンド需要が高まります。
《円安のデメリット》
・交換できる外貨が少なくなってしまうので、海外の製品、サービスや金融商品が高くなります。
・エネルギー資源や輸入原料・食材などの価格も上がってしまうため、私たちの消費支出が多くなります。
・両替できる外貨が減ってしまうので海外旅行も割高になります。
毎日の為替レートが必ずニュースで読まれます。「円安」「円高」は生活必需品の価格など私たちの日常にも大きく関わっているということです。
また、今はワンクリックで外国の商品が買える時代ですが、支払は相手国の通貨を使い支払日の為替レートで支払います。両替する際は為替手数料もかかります。
為替レートが私たちの消費生活ともかかわりの深いことを意識しながら、今までより少し注意を払ってニュースを見てみましょう。

